神奈川県横浜市は、人口が300万人を超える全国最大の政令指定都市です。東京に近いにもかかわらず地域性が異なり、住めば快適で、訪問しても楽しい街です。
横浜市内の主要な交通手段として、横浜市交通局が市営地下鉄と市営バスの運営を担っており、市内全域を網羅しています。
横浜市は福祉が充実した都市として知られており、高齢者や障害者に対する公共交通機関のパス交付や運賃割引が広く実施されています。横浜市外に住む障害者であっても、障害者手帳を提示することによって、地下鉄や市営バスを割引運賃で利用することが可能です。
横浜市交通局は独自の交通系ICカードを展開しておらず、運賃の自動割引を受けられる障害者用カードはありません。しかし、普通・回数・定期運賃の割引のみならず、一日乗車券の障害者割引が設定されているのが、横浜市における障害者割引の大きな特長です。

横浜市営地下鉄・市営バスに関しては、駅で紙のきっぷや一日乗車券を購入するのが基本です。ただし、障害者用Suica・PASMOを所持していれば、介護者・付添人の同伴が条件でIC乗車に対しても割引運賃が自動適用されます。
この記事では、横浜市営地下鉄・市営バスにおける障害者手帳の所持者に対する運賃割引制度について詳しくご説明します。横浜市民向け福祉特別乗車券(福祉パス)に関する概略の他、市外からの訪問者向けに普通・定期運賃および一日乗車券の購入方法をご理解いただければ幸いです。
- 横浜市民は福祉特別乗車券の交付を受けられるため、割引運賃を支払う必要はないこと
- 障害者手帳所持者が購入できる一日乗車券は、所定金額からさらに割引されていること
- 横浜の市営交通では、運賃の自動割引が可能な独自ICカードが展開されていないこと
横浜市営地下鉄・市営バスにおける運賃の障害者割引制度

はじめに、横浜市内の公共交通網を運営する横浜市交通局における障害者手帳所持者向け運賃割引制度の概要と割引の受け方についてご説明します。
市営地下鉄・市営バスの概要および福祉割引の特徴
前述した通り、横浜市内には市営地下鉄と市営バスが走っており、いずれも横浜市交通局によって運営されています。
横浜市内を走る市営地下鉄には2つの路線があり、横浜市内全域を縦断するのがブルーラインで、横浜市北部を横断するのがグリーンラインです。
また、横浜市内のほぼ全域に市営バスが走っており、バスの系統数は100を余裕で超えます。地下鉄と市営バスを利用すれば、横浜市内をくまなく移動できると言えるでしょう。
これらの公共交通網は福祉に手厚いと言われる横浜市の公営であるため、高齢者や障害者に対する乗車証の交付や割引制度が充実しています。
70歳以上の横浜市民には敬老特別乗車証(敬老パス)、一定の等級を有する障害者手帳所持者(横浜市民)には福祉特別乗車券(福祉パス)が、いずれも負担金を徴収する形で提供されています。
また、横浜市民以外の訪問者に対しても割引制度が整備されており、障害者手帳を提示すれば市営地下鉄・市営バスともに運賃割引の対象です。精神障害者保健福祉手帳に対する割引の導入が遅れていたものの、2025年4月以降全面的に割引制度が実施されています。
横浜の街を歩き回る際、市営地下鉄および市営バスの路線網や運賃割引制度をよく押さえておくと、充実したお出かけになるでしょう。
運賃の支払い方・割引の受け方
障害者手帳を提示して運賃の割引を受ける対象者は、福祉特別乗車券を持つ横浜市民に同伴する介護者・付添人、ならびに横浜市民以外の当事者です。
各種障害者手帳の所持者が横浜市営地下鉄や市営バスにおいて運賃の割引を受けるには、乗車するたびに手帳を提示して割引運賃を支払うのが基本です。
市営地下鉄に乗車する場合、各駅の券売機で割引用乗車券(紙のきっぷ)を購入してから改札口を通るか、交通系ICカードに関しては出場時に有人改札で割引運賃を精算します。また、市営バスに乗車する場合は乗車する際に手帳を提示し、先払いで運賃を支払います。
横浜市交通局においては、首都圏で導入されている障害者用Suicaおよび障害者用PASMOを介護者・付添人同伴のもとで利用可能です。紙のきっぷを購入することなく、IC乗車であっても割引運賃が自動的に適用されます。
横浜市営地下鉄や市営バスで有効な横浜市独自の障害者用ICカードは、現在のところ導入されていません。そのため、そもそも介護者・付添人同伴が前提である障害者用Suica・PASMOの利用対象者以外は、IC乗車で運賃の割引を自動的に受けられる手段がないことが今後の課題です。
横浜市交通局に関する他の都市にはない特長は、一日乗車券に対して障害者割引が重畳的に適用される点です。市営地下鉄と市営バスの両方が有効な一日乗車券を割引で購入すれば、横浜市民以外であっても福祉特別乗車券と同等の使い勝手が得られます。
運賃の障害者割引制度の詳細・福祉特別乗車券について

ここでは、横浜市交通局が運営する市営地下鉄および市営バスにおける障害者手帳所持者向け運賃割引制度の詳細、および横浜市民向けの「福祉特別乗車券」についてご説明します。
対象者
横浜市営地下鉄・市営バスの運賃割引の対象者は、以下の通りです。
障害者手帳所持者
- 身体障害者手帳所持者
- 療育手帳所持者(横浜市においては愛の手帳)
- 精神障害者保健福祉手帳所持者
各手帳の「旅客鉄道株式会社等旅客運賃減額欄」に「第一種」あるいは「第二種」と記載されていることを、あらかじめ確認しましょう。
市営バスに関しては、種別にかかわらず本人および介護者・付添人が割引の対象です。
市営地下鉄については種別によって割引対象者に差があり、第二種(12歳以上)の場合は本人のみが、第一種または第二種(12歳未満)の場合は本人および介護者・付添人が割引の対象になります。
特定の証明書所持者
- 児童養護施設利用者
- 知的障害児施設利用者
運賃割引証を作成し、乗車時に提示すれば、運賃割引の対象になります(本人および付添人1名)。
障害者手帳の発行自治体による適用条件の差、および手帳に記載されている第一種・第二種による適用条件の差はありません。上記の割引対象者に含まれる限り、どの自治体の手帳であっても割引を受けられます。
対象区間・設備
横浜市営地下鉄および市営バスの全区間が、運賃割引の対象です。
横浜中心部を走る「あかいくつ」も横浜市交通局が運営しており、後述する割引用一日乗車券を含めて割引運賃で乗車可能です(福祉パスでは乗車不可)。
割引率
普通運賃・普通回数運賃・定期運賃が、いずれも割引の対象です。割引が適用される定期運賃には通勤用と通学用が含まれます。
首都圏において定期運賃に障害者割引が適用されるケースはまれであり、日常生活の支援において横浜市の手厚さが感じられます。
市営地下鉄
普通運賃:
所定運賃の50%(等級による区別なし)
普通回数運賃:
所定運賃の50%(等級による区別なし)
通勤定期運賃:
所定運賃の50%(等級による区別なし)
通学定期運賃:
所定運賃の50%(等級による区別なし)
市営バス
普通運賃:
所定運賃の50%(等級による区別なし)
通勤定期運賃:
所定運賃の30%(等級による区別なし)
通学定期運賃:
所定運賃の30%(等級による区別なし)
横浜市民向け「福祉特別乗車券」について
横浜市内に住民登録をしている場合、市営地下鉄・市営バスの他、横浜市内を走る他交通事業者が運営する路線バスに無制限で乗車できる「福祉特別乗車券(福祉パス)」を選択できます。
福祉特別乗車券の支給を受けた場合、地下鉄・市営バス等に乗車する際に運賃を支払う必要はありません。
利用対象者
横浜市発行の下記手帳を持っている70歳未満の横浜市民が、福祉特別乗車券(福祉パス)の交付対象です。
- 身体障害者手帳所持者(1級-4級のみ)
- 愛の手帳所持者
- 精神障害者保健福祉手帳所持者
横浜市の場合、福祉特別乗車券の交付には年額1,200円の負担金がかかり、完全に無料というわけではありません。
福祉特別乗車券の交付対象者は本人のみであり、介護者・付添人については手帳を提示した上で割引運賃を支払うことになります。

公営交通の無料乗車制度が「弱者優遇」と厳しく見られがちな中、負担金がたとえ少額であっても福祉パスを有償化するのは、制度の持続性を確保するためです。さまざまな考え方があることを知った上で活用するとよいのではないかと思います。
所得制限
福祉特別乗車券の交付を受けるにあたって、所得制限は特にありません。
割引運賃で市営地下鉄に乗車する方法(紙のきっぷ・交通系ICカード)

横浜市営地下鉄に割引運賃で乗車する際、現金払いで紙のきっぷを購入する方法と、交通系ICカードを利用して精算する方法があります(障害者用Suica・PASMOを除く)。都合の良い方法を選択するとよいでしょう。

各駅には、このような券売機が設置されています。大人割引運賃と所定の小児運賃は同額であるため、小児用のきっぷを購入します。

これは、購入した割引きっぷです。券面には、白抜きで[小児・割引]と表示されています。自動改札を通るのではなく、有人改札で手帳を提示して改札を通ります。
交通系ICカードを利用する場合、入場する時は自動改札を通ります。出場する時に有人改札で手帳を提示し、割引運賃で精算してもらいましょう。
割引運賃で市営バスに乗車する方法

横浜市交通局が運営する市営バスは全路線で均一運賃であり、一部の例外を除き運賃先払い制です。
運賃の割引を受ける場合、乗車する際に手帳等を提示し、割引運賃(現金:大人110円・小児60円/交通系ICカード:大人110円・小児55円)を支払います。

それでは、横浜市営地下鉄・市営バスならではの割引適用版一日乗車券の買い方や使い方について、詳しく見ていきましょう!
障害者割引適用版一日乗車券を使い倒す~購入・使用方法~

横浜市交通局が運営する市営地下鉄と市営バスでは一日乗車券を利用でき、街歩きをおトクに楽しめます。
一般的には、すでに割引が適用されている一日乗車券に障害者割引が重ねて適用されることはありません。しかし、横浜市交通局においては、ありがたいことに一日乗車券に障害者割引が設定されています。
横浜市民以外であっても、横浜市民が日常的に利用している福祉パスを疑似的に体験できるわけです。
ここでは、横浜市営地下鉄および市営バスに乗車できる一日乗車券の種類や購入方法、使用方法についてご説明します。
割引が適用された一日乗車券の種類と購入方法
一日乗車券として発売されている3種類の中から自分に合ったものを選べるよう、各種類の様式を交え、購入方法に関してお話を進めます。
一日乗車券の種類・値段
横浜市交通局において発売されている一日乗車券の種類と値段は、下表のとおりです。
| 種類 | 大人所定運賃 | 大人割引運賃 | 小児割引運賃 |
| 地下鉄 | 740円 | 370円 | 190円 |
| バス | 600円 | 300円 | 150円 |
| 地下鉄・バス共通 | 830円 | 420円 | 210円 |
手帳を所持している場合、割引運賃で購入できます。手帳の種別が第一種である場合は本人の他に介護者・付添人も利用が可能で、第二種である場合は本人のみが利用可能です。
選び方
地下鉄しか乗らないか、バスしか乗らないと決めている場合は、地下鉄のみやバスのみの種類を選んでも差し支えないでしょう。
特に決めていない場合は、地下鉄・バス共通を購入すれば、いざ乗車する時に後悔しないはずです。地下鉄のみの一日乗車券と比べて大人50円しか高くないので、大きな負担ではないと思います。
購入方法
割引が適用された一日乗車券については、いずれの種類であっても券売機やバスの車内では購入できません。

一番確実なのは、地下鉄各駅にある駅事務室か駅案内所に行って購入する方法で、すべての種類が発売されています。駅事務室の場所が分かりにくいので、有人改札で確認するとよいでしょう。
バスおよび地下鉄・バス共通の券種に関しては、駅に加えてお客様サービスセンターやバス営業所等でも購入可能です。
障害者手帳の有効期限が切れていないことを確認し、忘れずに持参しましょう。
一日乗車券の様式
各種類の一日乗車券の様式は、以下の写真の通りです。いずれの種類も日付がオープンで発売されるため、購入時に日付が押されることはありません。
(地下鉄)

(バス)

(地下鉄・バス共通)

割引一日乗車券の使用方法
最初に地下鉄やバスを利用する時に、一日乗車券の券面に日付を入れてもらいます。
地下鉄の駅では、有人改札で手帳を提示して一日乗車券を渡すと、日付印が押されます。バス車内では、運転士に手帳を提示して一日乗車券を渡すと、運転士が日付を入れます。

筆者が実際に地下鉄・バス共通券を使い始めた時の状態は、このような感じです。くれぐれも、自分で日付を書かないようにしましょう。
まとめ ~運賃割引を活用して経済的に横浜の街を歩き回ろう~

横浜市交通局が運営する市営地下鉄や市営バスにおいて、各種障害者手帳の所持者向けに導入されている運賃の割引制度。精神障害者保健福祉手帳所持者に対する割引導入が遅れていましたが、2025年4月以降全面的に割引制度が実施されています。
負担金が生じるものの、横浜市民には福祉特別乗車券(福祉パス)が交付され、乗車時に運賃を支払う必要はありません。したがって、手帳を提示して運賃の割引を受けるのは、主に横浜市外から横浜市を訪問する当事者です。
市営地下鉄において割引を受けるには、乗車する時に券売機で紙のきっぷを購入するのが基本ですが、交通系ICカードを利用して出場時に有人改札で割引運賃の精算を行うことも可能です。
市営バスに乗車する際に割引を受けるには、乗った時に運転士に手帳を提示し、現金または交通系ICカードで割引運賃を支払います。
介護者・付添人の同伴向けに設計された障害者用Suicaもしくは障害者用PASMOを所持している場合、乗車する都度手帳を提示することなく自動改札で割引運賃が自動適用されます。
横浜市交通局においては、一日乗車券にも障害者手帳向けの割引運賃が設定されています。他の交通事業者ではなかなか見られないことであり、横浜市への訪問者に対しても横浜市民と同等の移動の自由が保障されていると言えるでしょう。
横浜市交通局においては、独自展開の障害者用ICカードが導入されていないため、本人単独で利用する際に自動的に運賃割引を受けられないのが課題です。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料
● 横浜市交通局ウェブサイト 2026.7閲覧
● 横浜市営バス路線マップ(横浜市交通局) 2026.4

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当記事の改訂履歴
2026年7月23日:当サイト初稿


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